【食品表示解説】乾しいたけ

シイタケについては、令和4年(2022年)3月に食品表示基準Q&Aが改正され、原木または菌床培地に種菌を植え付けた場所(植菌地)を原産地とすることとされました。

これはキノコ類全般ではなく、シイタケ限定の措置です。

その理由は、「シイタケは栽培管理上、菌糸が培地の中に伸張するまでの培養初期段階の環境が子実体の形成に大きな影響を及ぼすため」とされています。

これに伴い、シイタケ加工品である「乾しいたけ」についても、令和5年(2023年)4月以降製造されたものについては、その原材料となるシイタケの植菌地を原料原産地として表示することが義務付けられます。シイタケ以外のキノコ類は、採取地が原産地です。

そんな乾シイタケの表示を見ていきたいと思います。新基準で解説を致します。

1. 名称

名称 乾しいたけ(香信)

感想キノコ類のうち、干して乾燥させたシイタケは、食品表示基準別表第4の規定のとおり、「乾しいたけ」と表示します。薄切りにしたものは「乾しいたけ(スライス)」と表示します。

全形のシイタケには「どんこ」と「こうしん」の2種類あります。

「どんこ」とは、乾しいたけのうち、かさが七分開きにならないうちに採取したシイタケ菌の子実体を使用したものをいいます。なのでちょっとこんもりしたかわいいフォルムです♪ 漢字では「冬菇」と書きます。誰も読めないので、ほとんどのパッケージではひらがなで「どんこ」と書かれています。漢字のとおり、主に冬に収穫されます。

「こうしん」とは、乾しいたけのうち、かさが七分開きになってから採取したシイタケ菌の子実体を使用したものいいます。こちらは傘のようにしっかり開いた感じ。例示の写真は「こうしん」です。漢字では「香信」と書きます。

どちらがよい、というものではないようです。お好みと利用目的次第。「どんこ」は形がかわいく肉厚なので、贈りものなどには喜ばれるようです。一方の「こうしん」は、シイタケのうま味成分である「グアニル酸」がシイタケのカサのヒダから多く排出されるので、ダシが取りやすいという特色があります。また、どんこのように肉厚でない分、短時間で戻しやすく、日常づかいには便利かもしれませんね。

そんな「どんこ」と「こうしん」ですが、食品表示基準上名称には、「どんこ」「こうしん」以外の開き具合のシイタケの混入率が30%以下のものをそれぞれ「どんこ」「こうしん」と表示することができます。

2. 原材料名

原材料名:しいたけ(原木)

原材料名は「しいたけ」ですが、その後ろにカッコを付して「原木」または「菌床」と、その栽培方法を記します。

「原木」とは、原木栽培のことで、クヌギ、͡コナラなどの原木(丸太のようなもの)に種菌を植え付ける栽培方法をいいます。基本的に、自然の中に原木を置いて育てていくので、種菌を植え付けてから収穫できるようになるまで、2年くらいかかるそうです。

「菌床」とは、おが屑にフスマ、ヌカ類、水などを混合してブロック状または円筒状などに固めた培地(これを「菌床」という)に種菌を植え付ける栽培方法をいいます。こちらは温度・湿度が管理された施設の中で育てられるので、種菌を植え付けてから3カ月くらいで収穫できるのだそうです。現在、国内でつくられているシイタケの約9割以上が菌床栽培でつくられています。

3, 原料原産地名

原料原産地名 日本

通常、農産物の原産地はその収穫地となりますが、シイタケの場合はt採取地ではなく、原木なり菌床なりに菌を植え付けた場所(菌床地といいます)が原産地になります。これは、シイタケは栽培管理上、菌糸が培地の中に伸張するまでの培養初期段階の環境が子実体の形成に大きな影響を及ぼすためとされています。

これは令和4年(2022年)からの措置で、これに伴い、乾しいたけなどシイタケ加工品についても、原材料となるシイタケの植菌地を原料原産地として表示することになりました。令和5年3月末までが経過措置期間です。

ここでは原料原産地は「日本」と国名で表示がされていますが、都道府県名その他一般に知られている地名での表示も可能です。

4. 内容量

内容量 40g

キノコ加工品は、計量法の特定商品に該当しますので、質量(グラムまたはキログラム)での内容量表記が必要です。

5. 賞味期限

賞味期限 2022. 5. 22

日持ちのきく乾物ですので、消費期限ではなく賞味期限の表示となります。もちろん、きちんと保存をしていれば、この日を過ぎてもまだまだおいしく食べられます! 乾しいたけは、開封後はカビなどに注意して、空気や湿気に注意して保存しましょう。

6. 保存方法

保存方法 直射日光、高温多湿を避けて保存してください。

食品の特性に従って表示します。乾しいたけについては、食品衛生上の基準はありません。

ここでは「直射日光、高温多湿を避けて保存」とありますが、常温で保存すること以外にその保存の方法に関し留意すべき事項がないものについては、「保存方法」の事項の表示を省略することができます。

この記事が気に入ったら
いいねしてね!

シェアしてね!
  • URLをコピーしました!
  • URLをコピーしました!

この記事を書いた人

食の勉強をするうちに、
すっかり食品表示にハマってしまいました。
スーパーなどに行くと、いろんな食品をひっくり返して
なかなか買い物が終わらないのが悩みのタネ。
食品表示のことならお任せください!

コメント

コメントする

このサイトはスパムを低減するために Akismet を使っています。コメントデータの処理方法の詳細はこちらをご覧ください

目次